『オペラ座の怪人』は凄いし、好き。

『オペラ座の怪人』をひたすら愛するブログです。

「オペラ座WORLD」と題しまして、クローズUPキャスト版でお伝えします。

- 芝ファントム -

確かにですね、マチ ソワ マチで観劇しまして
ソワレは声帯疲労と集中力大丈夫か・・・と思うところはありました。
このソワレだけご覧になった方がいらしたら、
まぁ、思ったより良かったけど、みんとむがいう程凄くない。
という感想があっても否定しません。
実際私も、これが遠征ラストのオペラ座だったら同日マチネが
素晴らしかった分、ヘコんでいたかもしれません。
なので、こういったコンディションも含め賛否両論は致し方ないのも事実です。
いつでも絶好調のオペラ座を観れるのが一番いいですよね(*^_^*)

しかし、どの方も全身全霊・全力でファントムを
演じていることに変わりはありません。が、結局詰まる所、
登板回数を調整したらいいんじゃない?ということだと思います。
声はメンタルな部分が一番で、特に疲れていますとどうにもなりません。
高井さんでさえ、ラストシーンの崩壊、というのを
一度だけ拝見しましたが、これは本人が一番つらいはずです。

芝さんの怪しい音程はめずらし過ぎて、むしろ芝さんも人なのね、
と思ってしまいました・笑。
音程は常に完璧な芝さんで、特にジーザス役・ゲッセマネを
あれ程正確に歌えるなら、ファントムも問題ないな、と思っていました。
音程ど真ん中をピンポイントで歌ってくるというより、
ど真ん中を全部歌ってくる、と云ったらよいでしょうか
ど真ん中の幅が1センチなら、1センチ幅で声をのせることができる。
高井さんは音程ど真ん中を1ミクロン単位で歌ってくる、
という繊細さが凄い感じです。
芝さんはダイナミックなんですね。

しかし、なんといっても特筆すべきは
芝さんは演技派、ということです。
持ち役も多いですし、引き出しは星の数でしょう。
私が初めて「李香蘭」を拝見した時、芝さんは当時玉林役だったのですが、
ラスト検察官が
「(玉林は)日本軍に虐殺された。
 腹を裂かれ三日三晩さらしものにされた」
と言うシーンがあります。
もちろん舞台に玉林の姿はないんですが、
まるで舞台の中央に芝さん玉林が腹を裂かれてさらしものにされている、
のが見えたようで、私は本当に鳥肌が立ちました。
舞台裏では本当にその状態を芝さんが再現してるんでは??と思うような、
これもひとつのオーラといったらいいんでしょうか。
舞台上には現れないけれど、そこまで見せることができるのは、
「李香蘭」の舞台の上で芝玉林が本当に生きていたからだ、と思いました。
こういうことが出来る役者・芝さんなら、
ファントムという最高峰の役は演じて然るべき、であります。
チャンスが巡ってきて本当に良かった。そして、確実なことは
「ファントム場数」
を踏むしかないと思います。特に完成形のファントム役には
お稽古よりも舞台数あるのみ。

全般に芝ファントムの射すような瞳は、照明が当たるごとにキラリ
としてたまりません。佐野さんが目ヂカラなら、
芝さんはレーザー眼ですかね・笑。視線がまっすぐ過ぎて、
ちょっとあの瞳で見つめられたら、喉が締まるような
「夢の中で」ない場合は「逃げられない」です。
芝さんは、しっかりの細かいビブラートをお持ちですが、
毎回使わないので、曲にメリハリを感じました。
鼻音を使って声に膨らみを持たせてみたり、
口の中に空洞を作って声を共鳴させてみたり、
と歌詞によってか、音によってか、声の当て方設計図があるかのように
決めているみたいで、全てにおいて声色が素晴らしかったです。

芝ファントムのMOTNは、慣れてくればもう少しクリスに
アプローチしてくれそうな雰囲気を感じつつ期待もしてます・笑。
やはり曲への集中力がMAXなシーンですし、目をつぶっても音程完璧
になるまではクリスをさわってみよう!な余裕は、はるか彼方ですよね。
「私にさわってほしい」
でサワサワするのもドキドキですが、
「さわってほしい」
でクリスの胸をかすめていくその右手が
クリスの腕をなぞって手を握り締めていく・・・が大好き。
なんですけど、芝ファントムは「さわってほしい」で一旦クリスから手が離れて、
スッと手をつないだので、そこスキップかい、と内心ツッコミを入れてました。
クリスの体から1秒たりとも離さないぞ、な官能ファントムと
MOTNの曲が相まっての「甘美なる世界」構築をついつい期待してしまいます。

ラストはひつこいようですが、芝ファントム圧巻でした。
このシーンの複雑さは英語歌詞もからんでくると
残酷極まりない 心がえぐられる どうしようもない3重唱
です。英語歌詞を読み解くシリーズ「Well Read in Phantom」
のラストを踏まえつつ、とにかくファントムの本心が切なすぎて
どうしたって泣くんですよ。
そもそもこのシーンのやるせなさは、
散々人殺しをしてきたエリックなんだから
さっさとラウルを殺せばいいものを生かしていることです。
それは何故か。

「クリスティーヌが自分を選んでほしい」から。

英語歌詞がそうですが、「選べ」といいながら選択肢がおかしい・苦笑。
どっちを選んでもエリックが勝つのですよね。
ラウルを選べは、ラウルは死んでエリックが残る。
エリックを選べば、ラウルは生きているかもしれないが、エリックは残る。
結局クリスが自分の意志でエリックを選ぶか否かであって、
ラウルにもクリスにも勝ち目はないのです。

以上を芝さんはよくよく分かってのファントムだな、と。
「私を選ぶか!こいつを選ぶか!!」
で、ラウルをかばうようにクリスが芝ファントムの前に
立ちはだかりますが、この時の芝ファントムの
ううっ・・・
な感じ・・・凄かったです(゚д゚) 無駄な動きは一切なく、
芝ファントムの全身が「こぶし」になったみたいでした。
全身で「グー」だったです。なので、体が少し震え、
「この命救えるのは 君だけ」
はレポでもお伝えした通りで、ラウルではなく自分の命を救えるのは、
と聞えてくるようでした。クリスティーヌが自分を選んでくれなかったら・・・
「許さない 選べ」
許さないんですよ!?この迫り方、まるで子供ですよね。
そしてこの「選べ」は近年歌いつつ吐き捨てる、でしたが、
今回歌になってのあの音階・・・
エリック自身、クリスが欲し過ぎておかしくなったみたいでしたね。

苫田クリスが芝ファントムにキスをしたとき、
見えない字幕が流れていきました(ケイ氏「ファントム」引用)。

私はもう何もできなかった
キスがすべてを終わらせたのだ
その瞬間クリスティーヌは私のものだった


芝ファントムの表現力の見事さ。
何度想い返しても、素晴らしいものでした。

「わが愛は終わりぬ 夜の調べと共に」

芝ファントムが玉座に向うシーン。
それは真っ白で、明確な終わりを告げるもの、とレポで綴りました。
小説でも映画でも、エリック自ら隠れ家の全てを破壊しています。

自分がこの世に存在した痕跡を一つも残したくなかった

この一節を芝ファントムの背中が物語り、
観客に一切考えさせない演技とはこういうことか!
と、私は度肝を抜かれました。
玉座へ向かいながら、芝ファントムが
どんどん「無」になっていくのを感じました。
この表現を選ぶのも凄いですし、
じゃ、どうやったら「無」になれるのか?
芝さんの俳優人生・集大成を見せて頂いた気がします。
そして、これからもこの「芝さん感覚」の濃度は増し、
どこが?と聞かれると全く分からないが、なにかが凄いことだけは確か。
な芝ファントムを期待せずにはおれません。
どうかこれからも、芝さんがファントムを演じ続けていけますように。
その年季がきっとオペラ座に伝説を創ると信じています。
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